パチンコ・パチスロ参加人口660万人で前年比110万人減少 市場規模15兆7,000億円で前年比1.1兆円増加
- 2024.11.14
- パチンコ・エンタメニュース
公益財団法人日本生産性本部(会長・代表理事/茂木友三郎氏、理事長・代表理事/前田和敬氏)余暇創研は10月29日、東京・ビジョンセンター永田町で「レジャー白書2024」の概要を発表した。当日は、余暇総研の長田亮主任研究員と桜美林大学ビジネスマネジメント学群の山口有次教授が説明した。
コロナ禍影響は落ち着くもホールの格差拡大が進むパチンコ業界
パチンコ・パチスロの売上は3年連続の横這いを脱却し、7.5%増加した。長期低迷が続くなか、コロナ禍でさらに大きなダメージを受けたが、やや回復して前年比でプラスとなった。パチンコの売上は減少したが、パチスロがそれをカバーする大きな伸びを示した。パチスロは「スマスロ」が若年層を中心に好評を博し、大きく市場を牽引した。「スマスロ」とは、「スマートパチスロ」の略称で、従来のパチスロ遊技で必要だったメダルは使用せず、電子的な情報で貸しメダル数やプレイ中のメダル情報を管理するという新しいパチスロのこと。「スマスロ」の導入に際しては専用ユニットなどの周辺機器を新たに揃える必要があるなど導入コストの負担が大きいこともあり、資金力の乏しい企業の撤退に拍車を掛ける格好となっている。
パチンコ・パチスロの経営環境は相変わらず厳しい状況が続いており、全国の遊技場数は前年比6.1%減少し過去最低を更新した。特に遊技機台数が100台から500台規模の中小店舗が大きく減少しており、中小店舗の経営の厳しさがうかがえる。これにより、1店舗当たりの備付台数は毎年増え続けている。2023年10月には、パチンコ・パチスロホール業界の経営店舗数で第4位のホール企業「ガイア」などグループ7社が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請。ホール企業の倒産としては2000年以降で最大の負債額となった。
一方、警察庁がパチンコホールの広告宣伝の規制等に係る新たな運用方針を示したことに伴い、ホール関係4団体は「広告宣伝ガイドライン」を制定し、広告宣伝に関して全国共通の取り組みをスタートさせた。ガイドラインを遵守することで自主的に広告宣伝の健全化をはかる方針である。また、業界団体による新規ファン獲得の施策として、日本遊技機工業組合は2023年4月に「KIBUN PACHI-PACHI委員会発足&新CM記者発表会」を開催した。業界全体のイメージアップとパチンコ・パチスロの楽しさ、ワクワク感をアピールするため、新テレビCMやグラフィック広告をはじめ、様々な施策を展開する。いずれも、離れてしまったファンを呼び戻し、新規顧客を開拓するため、様々な方向で顧客獲得を目指している。
パチンコ・パチスロのマニア化が進みファンの裾野がなかなか広がらない状況が続いているだけに、ファン人口の拡大に向けて、特に若年層の取り込みに期待が掛かる。
余暇市場71兆2,140億円で前年比+13.4%の増加
一方、2023年の余暇市場全体の規模は71兆2,140億円で、前年比8兆3,910億円(+13.4%)と増加した。コロナ禍で大きく落ち込んだ分野が大幅に伸び、コロナ禍前の2019年比で98.5%の水準まで戻った。
同時期の国内総生産(支出側)は前年比5.6%増、民間最終消費支出は前年比3.6%増であるのに対し、余暇市場はコロナ禍で落ちた反動もあり伸び率は大きい。
2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類並行して外出機会が増えたことは、様々な分野に好影響を与えた。水際対策の終了でインバウンドが急増したことも関連分野の伸びに貢献した。全般的に値上げが進行し単価が上がったことも大きく寄与した。
回復が遅れた観光・行楽部門の国内旅行関連と娯楽部門の飲食関連も居遅くに回復した。コロナ禍前からみられコロナ禍で加速したレジャー活動のオンライン化、デジタル化の傾向は、伸び率は落ちても関連分野の増減に表れている。逆に、スポーツ観戦や鑑賞レジャー、学習レジャー、ゲーム、公営ギャンブル、カラオケ、テーマパークなどにおいて、その時しか味わえないライブ感のある体験の価値が増している。コスパやタイパを求める一方で、推し活のためにはお金も時間も惜しまない傾向もみられる。関連消費は商品購入やサービス利用まで総合的に取り組み、生活の一部に入り込んでいる。
国内観光旅行が2年連続首位
2023年における参加人口の上位種目は以下の通り。
①国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)
②外食(日常的なものは除く)動画鑑賞(レンタル、配信含む)
③動画鑑賞(レンタル、配信含む)
④読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)
⑤音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)
⑥ドライブ
⑦映画(テレビは除く)
⑦ウォーキング
⑨複合ショッピングセンター、アウトレットモール
⑩SNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション
⑪動物園、植物園、水族館、博物館
⑫ウィンドウショッピング(見て歩きなど娯楽としての)
⑬温浴施設(健康ランド、クアハウス、スーパー銭湯等)
⑭園芸、庭いじり
⑮テレビゲーム(家庭での)
⑯カラオケ
⑰遊園地、テーマパーク
⑱体操(器具を使わないもの)ジョギング、マラソン
⑲宝くじ
⑳トランプ、オセロ、カルタ、花札など
公営競技堅調続く、カラオケもようやく回復傾向
パチンコ・パチスロが属する「娯楽部門」の市場規模は48兆100億円で前年比12.6%増加した。コロナ禍でもネット販売が大きく伸びた公営ギャンブルは、外出機会が増えて伸び率は大幅に落ちたが伸びは維持している。「テレビゲーム・ゲームソフト」は増加したが、「オンライン・ソーシャルゲーム」はほぼ横ばいにとどまった。「パチンコ・パチスロ」は長期的な減少傾向から近年は横ばいが続いたが、ようやく増加に転じた。コロナ禍のダメージが大きかった「外食」は大きく回復したが、「酒場・バー」は大幅増加でもやや回復が遅れている。最も回復が遅れた「カラオケ」もようやく復調傾向にある。全体的には2019年比97.9%(前年は86.9%)の水準。
「パチンコ・パチスロ」の参加人口は前述のとおり660万人(前年比-110万人)だが、性・年代別にみると以下のようになる。
[男性72.0%]10代2.7%、20代8.9%、30代10.7%、40代17.8%、50代14.2%、60代10.2%、70代7.6%
[女性28.0%] 10代0.4%、20代3.6%、30代3.6%、40代5.3%、50代8.9%、60代3.6%、70代2.7%
「レジャー白書2024」の調査は、2024年1~2月にインターネット調査により実施、有効回答数は3,303人(全国15~79歳男女)。なお、今回の白書では昨年に引き続き「余暇時間の自由度と重要性・満足度」を調査し、コラムとして報告している。