【ソボクな疑問】第2回:パチンコを打つ店のことを、なぜ“パーラー”と呼ぶの?

※イメージ写真

 私たちがパチンコを打ちに行くお店の呼称には、様々なものが存在しています。

 ちょっと思い浮かべただけで、「パチンコ屋」「パチ屋」「パチンコ店」「パチンコホール」「ホール」「遊技場」「パーラー」などいくつかの呼び名が出て来ますが、これらの中でも異色な響きを放っているのが「パーラー」です。

 通常「パーラー」といえば、「フルーツパーラー」などといったオシャレなお店を思い浮かべてしまいますが、なぜそれをパチンコに当てはめたのでしょうか……?

 その疑問を解くカギは、ある「パチンコ業界誌」にありました。

 業界誌「グリーンべると(株式会社アド・サークル発行)」では、1986年よりパチンコ店の呼称を「パーラー」に変えていこうとする「パーラーコールキャンペーン」を開始しました。2013年に発行された「(株)アド・サークル設立50周年記念誌」によると、1983年「グリーンべると」誌上で開催されたヨーロッパ出身の特派員による座談会にて、出席者が「パチンコパーラー」という呼び名を使っていたことがきっかけで、同キャンペーンが始まったのだそう。

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 1983年の座談会についてよく知る関係者にお話を伺ったところ、オーストリア、フランス、イタリアなどの出席者から

「(パチンコ)ホールというのは、海外では“通常使われず集会などニーズがある時だけ人が集まる場所”を指すので、パチンコに当てはめるのは違和感がある」

「私たちから見ると、パチンコは強いていうなら“いつも人がいてくつろいだり楽しんでいる場所”という意味で、パーラーの方が合っていると思う」

といった声が寄せられ、かねてからパチンコのイメージアップについて働きかけを行いたいと考えていた(株)アド・サークルとして、「パーラーコールキャンペーン」を開始するきっかけとなったのだそうです。そこから全国に「パーラー」を名乗る店舗が広がり、現在までこの呼び名が使われているとのことでした。

 以上、パチンコ店を「パーラー」と呼ぶ謎や経緯について気になっていた方も多いかと思いますが、きっかけは外国人の違和感だった、ということが分かりました。

 さて余談ですが、「パーラー」以外にも異色だった呼称として「パチーノ」というものもありました。

 これは1994年に作家の故・室伏哲郎氏が提唱した呼称で、当時労働問題として挙げられていた「3K(きつい、汚い、危険)」に引っ掛け、「PACHINKO」から3Kを連想させるKを取って「PACHINO」に変え、イメージアップを図ろうと呼びかけたものです。

1995年、「パチーノ」の店名が書かれた新台告知の貼り紙
写真協力…(株)遊技ジャーナル社

 パチーノに関しては残念ながらパーラーほど多くの賛同を得られず、ごく一部の企業が名称変更をする程度にとどまっていますが、いずれもパチンコのイメージアップを図ろうとする動きの一つとして、心に留めておきたいエピソードといえるでしょう。

※協力…(株)アド・サークル

     坂本和行(敬称略)

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