【レトロパチンコ文化考察】第36回「30年前……平成7年7月7日にオープンした、あのパチンコホール」
- 2025.07.07
- レトロパチンコ文化考察

今年は「令和7年7月7日」と、7が揃う年となりました。パチンコ業界ではゾロ目を派手に宣伝することは避けられているためか、新しいゲーム性「LT(ラッキートリガー)3.0」を搭載した機種のホール導入をこの日に集中させることで、多くの方に「777」をアピールしていたようです。

さて、今回の前に777が揃っていたのは、ちょうど30年前の「平成7年7月7日」。ゾロ目が揃うため「記念の消印に長蛇の列」とか「婚姻届を提出するカップルが激増」など様々なニュースも流れていました。
そしてその日に新規開店して全国の注目を集めたのが、渋谷の「マルハンパチンコタワー」でした。

何しろ都内一等地の一つである渋谷道玄坂に1090台という超大型ホールができるのですから、話題にならないワケがありません。マルハンも事前に多くのマスコミを招いて記者会見や内覧会を開催し、様々なニュース等でも報じられました。

そのような期待を集め、いよいよ平成7年7月7日オープン。開店前には1万5000人が列を作ったそうです。

ショーケースの一角には、メインビジュアルとなっていた女性の様々な表情が並び、その下には何と砂のように無数のパチンコ玉が敷き詰められています。これは見応えがありました。

そしてエントランスには、男女のアップと「チン。」「ジャラ、ジャラ。」というコピーがついたボードも。パチンコ好きならピンと来る、ちょっとユーモラスなお出迎えも印象的です。


マルハンパチンコタワーはオープン当時7フロア(1階はエントランス、7階はオフィス)で構成され、パチンコとパチスロは2〜5階に設置されていました。このうち2階の一部が少し高さの低い禁煙スペースとなっていたのが、当時としては先進的であったといえます。また、パチスロは5階の1フロア(229台)だけであったのも、時代を感じます。

このホールの“ウリ”をいくつか振り返っておくと、まず全ての台の状態(大当り中など)が分かる「POWER BORD」があり、様々な色に変化するボードは非常にきれいなネオンサインのようなイメージでした。

こちらはテレビを見ながら打てる「テレビシート」。こうしたサービス自体は既に普及しつつありましたが、音響などにも凝ったシステムとなっていて、オシャレな雰囲気が写真のソバージュ(死語)の女性にも合っている気がします。

この縦に長いコーナーは、王様気分で打てる台……ではなく「シースルーパチンコ」コーナー。台と台の間が透明なガラスとなっていて、そこから玉の補給などが見られるというもの。この仕組みは変わっていましたが、いつの間にか無くなっていました。

景品コーナーは6階にあり、ブランドものが豊富に揃っていました。考えれば2500発(1万円分)で数万円のバッグや化粧品などに交換できるのですから、かなりお得。
ちなみに各フロアには名前がつけられていて、景品フロアは「プレミアムヘブン」。他にもパチスロフロアは「カジノエンターテイメント」、パチンコフロアは「マジカルロビー」「ミラクルステージ」といった、ちょっと恥ずかしいネーミングが大きく表示されていました。

そんな風に、30年前大きな話題性とともにオープンしたマルハンパチンコタワー。翌年には同じビル内にあったレコード店でライブを行ったマキシ・プリーストがパチンコを打ちに来て話題になったり、2000年代にはマイケル・ジャクソンが来店したという噂もありました。
あくまでも噂ですが、マイケルの方は来店したものの自分の台『CRマイケルジャクソン』が設置されていなかったため、海物語を打ってから帰ったとか。……本当でしょうか(笑)?

その後もリニューアルや稼働フロアの縮小などを何度か行いながら、20年ほどが経った平成27(2015)年のこと。

「平成28年1月17日をもちまして閉店とさせて頂きます」
……ビックリしましたね。説明では「ビルの賃貸契約満了に伴い」とありますが、もはや「渋谷のランドマーク」といっていい存在であっただけに、当時は「そんなに簡単に閉店していいの?」と、軽く憤りすら感じたものです。
しかし、パチンコ業界自体も既にユーザー離れが進んでおり、この少し後にはコロナ禍による大ダメージも受けることになります。そう考えると、21年の間よくぞ若者の街でパチンコを盛り上げてくれた、と感謝すべきなのかもしれません。
今回、改めて30年前の“騒動”を振り返ってみました。残念ながら令和の現在はパチンコホールも当時から1万軒ほど減っており、先の見通せない状況となっていますが、元気だった頃のホスピタリティなど参考になることがあれば幸いです。
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