【球面体ノート31】パチンコ・スーパー
- 2022.08.20
- 球面体ノート
2022年8月中旬、パチンコファンや業界関係者にとってショッキングな「栄FUJI閉店」というニュースが飛び込んできました。このお店は少なくとも60年ほど営業を続ける老舗チェーンとして有名でしたが、とうとう最後の1店舗が閉店(2022年8月31日を予定)となってしまうのです。
悪いタイミングと重なってしまいましたが、このコーナーではかねてより「栄FUJI」の景品コーナーについてご紹介しようと思っていましたので、予定を繰り上げる形で掲載させてもらいます。
同店を経営する「富士商事」が創業したのは昭和26(1951)年で、約70年ほど前になります。当初からホールを経営していたのかは現時点では不明ですが、手元にある1965年のホール名簿によれば、「富士娯楽遊技場」の名前で名古屋市内には栄(当時は富沢町)に1店舗、広小路通りに1店舗、千種区に1店舗があったようです。
一番上の写真は1975年に大改装を行った栄FUJIの外観(写真は1976年)で、すぐ上の写真が店内の景品場。この改装では従来の設置台数348台から777台に大幅増台し、約270平方メートルの一般景品場を設置しました。
ここでは好きなものをかごに入れて選べる「スーパー方式」を採用しているのが大きな特徴で、当時はまだ取り入れているのは新宿の「ニューミヤコセンター」など少数派だったことから、話題を呼びました。
また、驚くことに「小鳥」「金魚」「植木」といった動植物コーナー(店長のアイデアだったそう)もあり、当時の記事によると小鳥は多い日には20羽、少なくても5〜6羽は持ち帰るお客さんがいたそうです。鳥かごも300発で取れるので、それに入れていくこともできたとか。
他にも書籍、冷凍食品、日曜大工、釣り道具といったコーナーもあって、まさに「スーパー」の名にふさわしい品揃えでした。こうした景品コーナーは好評だったことから、1年後には今池の店も同じ方式に大改装を行ったそうです。
その後、しばらくはスーパー方式の景品場が注目され、筆者も90年代半ば頃取材で名古屋に行った際見学した記憶がありますが、現時点でどうなっているのかは残念ながら分かりません。
しかし、こうした店舗が全国規模で大きな影響を及ぼしたのは間違いないところ。「パチンコには一般景品を持ち帰る楽しみもある」という側面を改めて思い出させてくれる存在だったのを忘れてはならないと思い、今回取り上げさせてもらいました。
今後、スマパチなど色々と変化を遂げそうなパチンコですが、魅力ある景品を揃えるという基本的な部分は変わらずにいてほしいものです。
※写真や文章の無断転載を禁止します
-
前の記事
【球面体ノート30】ぱちんこ夢の国奇譚 2022.08.12
-
次の記事
【ぱちんこヒューマン】第6回:西陣のデジパチ一号機『ターボX』開発者インタビュー 2022.08.29