【球面体ノート40】気になるパチンコ広告3:新 遊 技 感 覚。

 今回は1985年2月に掲載された、三洋の広告を取り上げます。

 特に機種の盤面や名前が入っていないので、いわゆるイメージ広告ということになると思いますが、見た瞬間、筆者の頭の中にこの曲が流れてきました。

 1979年、世界的に大ヒットしたバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」です。

 音楽専門チャンネル「MTV」開局1曲目に放映されたことでも有名で、おそらく多くの方が耳にしたことがあるんじゃないかと思います。

 で、三洋の広告なんですが、当時はいわゆるシンセサイザーのピコピコ音を使ったYMOやヒカシューなどの「テクノポップ」も流行しており、バグルスのジャケットと見比べても、まさにそうした方向を狙ったデザインで作られたものに違いないと考えたのです。

 この広告が出された1985年のパチンコ業界では、1ラウンド10カウントを軸にした規則改正という大きな出来事がありました。

 すでにその前年から市場導入が始まっていた「10カウント機」は、1980年に登場した『フィーバー』以降人気を集めた大量出玉を大きく規制するものであり、1回の大当りで1300個しか出ないデジパチに対する失望感は、非常に大きかったそうです。

 三洋の広告に添えられた「新 遊 技 感 覚。」というコピーの「新」というのは、おそらく規則改正以降のことを指していると思われ、そう認識すると先の見えない状況に対する一種の「カラ元気」的な複雑な思いも垣間見られる? 気がしてくるのです。