2023年のパチンコ販売台数は97万2000台、パチスロは75万台 2024年はパチスロがパチンコを上回ると予測⁉

 ㈱パチンコビレッジは2023年のパチンコ・パチスロ販売台数などのデータを集計した「パチンコ・パチスロ販売実績2023」を発表した。2023年のパチンコ販売台数は97万2000台で前年比94%の微減、パチスロは75万台で前年比104%に増加した。パチンコは3年ぶりに100万台を割込む厳しい結果に。一方、パチスロには昨年後半より導入開始された6.5号機やスマスロで高評価を得た機種も登場し、前年から微増という結果となった。なお、本データは同社が独自に調査したもので、全ての集計は納品日をベースとしている。また、メーカーは子会社等を含めたグループで集計しており、端数は500台単位で集計している。2023年のデータのほか、スマート遊技機の販売状況、2024年販売実績予想も発表した。数値はすべてパチンコビレッジの調査数値になる。

▼2023年パチンコ機種別トップ10

 2023年のパチンコ機種別1位は「Pフィーバー機動戦士ガンダム SEED」(SANKYO)で50,000台、2位は「ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン Type レイ」(ビスティ)で48,000台、3位は「PA大海物語5 Withアグネス・ラム」(三洋物産)で39,000台、4位は「P大海物語5」(三洋物産)で37,500台、5位は「P牙狼GOLD IMPACT」(サンセイアールアンドディ)で36,000台。

 昨年は3機種のみだった30,000台以上売れた機種が今年は7機種となっている。一方で、今年のパチンコ合計販売台数は落ち込んでいることから、機種ごとの販売台数格差は広がっている。また、シリーズ単位で台数をみてみると、1位は「大海物語5」シリーズ。ミドル・甘デジを合算すると76,500台となり、以前と比べると販売台数自体は少なくなったが、まだまだ「海シリーズ」の根強い人気がうかがえる。2位は「シン・エヴァンゲリオン」シリーズで60,000台。前作が現在も人気機種となっており、新作の同シリーズへの期待が感じられる。導入後の活躍に注目したい。

▼2023年パチスロ機種別トップ10

 2023年のパチスロ機種別1位は「スマスロ北斗の拳」(タイヨーエレック)で84,000台。「ジャグラーシリーズ」を除けば販売台数80,000台を超えたのは2016年の「パチスロ北斗の拳 修羅の国篇」以来7年ぶり。2位は「ゴーゴジャグラー3」(北電子)で38,000台、3位は「アナザーゴッドハーデス-解き放たれし槍撃ver.-」(ミズホ)で37,000台、4位は「スマスロ バイオハザード:ヴェンデッタ」(ロデオ)で33,000台、5位は「パチスロ甲鉄城のカバネリ」(サミー)で32,000台、昨年からのロングヒットで今年32,000台を増産し累計では50,500台となっている。

 昨年は3機種のみだった30,000台以上売れた機種が今年は5機種となっている。また、上位10機種のうち6機種がスマスロとなっており、スマスロへの移行が順調に進んでいることが分かる。今年は4月に「スマスロ北斗の拳」が登場し大人気となったことをきっかけに、スマスロ導入の流れが一気に広がったといえる。

▼2023年パチンコメーカートップ5

 2023年のパチンコメーカーグループ別販売実績1位はSANKYOグループで305,000台。2年連続の1位で「Pフィーバー機動戦士ガンダムSEED」と「シン・エヴァンゲリオン」シリーズで100,000台を超え、圧倒的な差でリーディングカンパニーとしての強さが際立った年といえる。2位は三洋グループで141,000台、3位はサミーグループで129,000台、4位は京楽産業.グループで65,000台、5位はニューギングループで63,000台。

 2023年トップのSANKYOグループは30万台を超える高実績となった。一方で、4位でも70,000台を下回る実績となっており、メーカー格差はさらに広がっているといえそうだ。

▼2023年パチスロメーカートップ5

 2023年のパチスロメーカーグループ別販売実績1位はサミーグループで195,000台。「スマスロ北斗の拳」と「パチスロ甲鉄城のカバネリ」の増産で100,000台を超え、昨年は僅差で2位だったが2019年以来4年ぶりの1位となった。2位は後半にスマスロを販売し追い上げたユニバーサルグループで120,000台、3位はSANKYOグループの72,000台で2013年以来10年ぶりのトップ3入り、4位は北電子グループで51,000台、5位は平和グループで41,000台。

 2023年トップのサミーグループは昨年1位の実績95,000台の倍となる19万台以上を販売し高実績となった。一方で、5位でも50,000台を下回る実績となっており、パチンコ同様にメーカー格差はさらに広がっている。

▼2023年 スマート遊技機の状況

 パチスロは昨年11月、パチンコは今年4月より導入が開始されたスマート遊技機。今年納品された機種のスマート遊技機台数割合、パチンコは125機種納品され、うち13機種がスマパチになる。販売台数を見ると、972,000台のうちスマパチは115,000台と4月から導入開始とはいえ、わずか12%にとどまっている。一方、パチスロは82機種納品され、うち32機種がスマスロ。販売台数をみると、750,000台のうちスマスロは442,000台と機種数は少ないものの割合は59%と積極的な導入となった。「スマスロ北斗の拳」以降、販売機種もスマスロが多くなってきており、人気機種の登場とともにスマスロに上手く移行しているといえる。パチンコ・パチスロ全体のスマート遊技機化については、大きく出遅れた感のあるパチンコにおいて、スマパチでのヒット機種登場が鍵を握ると考えられる。

▼販売実績とホール軒数の推移

 2012年からの販売実績とホール軒数の推移を比較した。ホール軒数は2012年から約5,000軒の減少となっている。ホール軒数減少に伴いもちろん販売台数も減少しており、2012年と比較すると約200万台減少と半分以下の厳しい状況となっている。2020年からのコロナ禍でパチンコ・パチスロとも2012年以降最低の販売台数となっていたが、2021年・2022年とホール軒数が減少する中、下げ止まりを見せていた。しかし、今年はスマスロでの盛り上がりは見せていたもののパチンコ・パチスロの合計販売台数は減少した。来年以降もホール軒数の減少は想定できるため、さらなる販売台数の減少は避けられない可能性が高いと思われる。スマスロの普及と同様にスマパチでヒット機種が登場し、結果としてホール軒数の減少が鈍化してくれば、本当の下げ止まりに近づくため、今後のヒット機種登場に期待したい。

▼2024年 業界販売実績予想

◎安心要素 …スムーズに移行を続けるスマスロ

〇期待要素 …LT(ラッキートリガー)機・スマパチの普及

▲不安要素 …ユニット・改刷対応等による設備投資増加、まだ底の見えないホールの減少傾向、改善されない型式試験適合率の低さ

 現状、スマスロは普及しパチンコがパチスロに押されている状況。また、スマパチはヒット機種が生まれず、メーカーも消極的で動きは鈍く感じる。来年はLT機登場やスマパチの普及などパチンコの奮起に期待したいところ。ただし、改刷対応やスマート遊技機導入のための設備投資も必要なため、ホールの厳しい状況は変わらず、販売台数も大きな伸びは望めないのではないか。

 パチンコビレッジでは12月14日に本件に関する発表会を開催。そこでは「2024年の遊技機販売台数は、スマパチをはじめパチンコの低迷が続けば、パチンコ・パチスロの長い歴史の中で、初めてパチスロ台数がパチンコ台数を上回るかもしれない⁉」との予測に参加者の多くが納得していた。