日遊協「パチスロプレイヤー調査2023」を発表~スマスロのプラス要素で休止者層遊技再開⁉ ~

(写真) ㈱エンタテインメントビジネス総合研究所・藤田宏代表取締役

 一般社団法人日本遊技関連事業協会(日遊協、西村拓郎会長)が毎年実施している「パチスロプレイヤー調査」の2023年版が発表され、4月17日に都内事務局で記者会見が行われた。会見では、㈱エンタテインメントビジネス総合研究所の藤田宏代表取締役が概要を説明した。

 「パチスロプレイヤー調査」は、①パチスロの「参加人口」「参加率」「頻度」「満足度」の経年変化を確認し、遊技者の動向や考え方を把握する、②全てが6号機となった市場にスマートパチスロが登場したことで、遊技状況や遊技評価および遊技者が求める今後の遊技機を探索する、③パチスロ参加人口の維持・拡大に繋げるための施策を導き出す基礎資料とすることを目的に実施。調査期間は2024年1月4日~9日。調査方法は全国の18歳~79歳の男女を対象にインターネットで行い、事前調査で1万サンプルの有効回答を回収。本調査では現行プレイヤー層1,456サンプル(2~3か月に1回以上プレイ)、休止者層471サンプル(やめる前のプレイ頻度週1回以上)の有効回答を集計した。

 調査結果によると、2023年のパチスロ参加人口は約682万人で昨年比約10万人の減少となった。年代別では「40代」の参加人口が前年比26万人増加しているものの、「30代以下」は2019年からそれぞれ50万人以上減少しており、若年層の減少傾向が続いている深刻な状況を指摘した。以前よりも遊ぶ回数が減った理由については、遊技機要因では「勝ちにくい」が最も高く、続いて「お金がかかる」「おもしろい機種がない」の順で高かった。また、生活要因では「使えるお金が減った」が前年から上昇しており、昨今の物価高による可処分所得の減少の影響が考えられるとした。

 休止者層の深堀分析では、パチスロをやめた当時の不満点として「使用金額の多さ」が約84%と前年に続き最も高く、続いて「1回のボーナス獲得枚数」「出玉獲得にかかる時間」「一撃で獲得できるメダル数」の順で高かった。また、休止歴別で分析した結果、やめた時期が近いほどパチスロに対する不満が高い傾向が見られる。離脱を防ぐためには金額面での遊びにくさを改善していくことが必要であると推察される。

 また、休止者にスマスロの遊技意向を調査した結果、「遊んでみたい」と回答したのは全体の約2割だった。休止者の人口ベースで考えるとこの層が再開すれば、参加人口の大幅な増加が期待できるが、スマスロが魅力的なパチスロといったイメージに至ってない点は課題といえる。ただ、年代の若い層とやめた時期が最近の層ほど、スマスロで遊んでみたい割合が高く、「スマスロのプラス要素を休止者層にアプローチできれば、遊技再開につながる可能性もあると考えられる」としている。

 スマスロの遊技動向については、主要な10機種を対象に継続調査した。スマスロが本格的に導入され、ヒット機が出たことで「遊技経験」「継続意向率」ともに前年を大幅に上回っており、中でも若年層ほど遊技経験の割合が高かった。スマスロで遊ぶ際の期待と評価について調査した結果、経験者は未経験者よりも遊技環境や操作性など全ての項目で肯定的な回答割合が高く、経験者には一定の評価を得られている。中でも、スマスロの有利区間ゲーム数上限のないゲームシステムは若年層を中心に評価された。

 一撃の差玉上限2,400枚の納得度では、「納得できる」よりも「納得できない」の割合が依然として高く、納得できない理由を深堀りしていくと「大量獲得のイメージがわかない」「上限に達すると、上乗せしたAT・ARTが消化できない」と回答した割合が8割前後となり、現状の差玉上限に不満のある層が一定数いることがわかる。

 6号機ノーマルタイプの遊技経験は8割以上と遊技者に浸透してきたが、その一方で、ビッグボーナスに期待する獲得枚数では300枚以上必要と回答した割合が合計で7割弱となり、現在の獲得枚数に対して不満があることが読み取れる。

 藤田社長は「6号機ノーマルタイプに不満を抱えている遊技者が来年以降に離脱予備軍として増えないようにする必要がある。過去のデータからも不満が改善されなければ休止に繋がる傾向が強いため、この対応は業界の大きな課題である」と懸念し、早急な対応を求めた。

 報告書では、今後の対策として以下を挙げている。

 ●スマスロは遊技性能に対して一定の評価があり、若年層を中心に受け入れられている。メダルを使用しない遊技環境の快適さもあり、週1回以上の参加人口が増加したと考えられる。ただし、現状のスマスロではAT機が多く設置されている中で、若年層と高齢層では遊技の志向が違うと推測されるため、それぞれに適した新しいゲーム性の拡充が効果的と考えられる。

 ●6号機ノーマルタイプは現状のメダル獲得性能に不満を持っている層が多いことから、出玉性能の面においてもメリットを感じさせるノーマルタイプの登場が望まれる。  ●パチスロ参加人口の減少に歯止めをかけるためには、遊技機のバリエーションを増やし、若年層を中心とした新規ファン並びに、休止者、休止予備者に受け入れられる遊技機開発が期待される。