【球面体ノート48】“夏のお嬢さん”が運んで来たのは……パチンコ玉?

 上の写真は1980年夏、川崎にあった「モナコ」という雀球(麻雀とパチンコをミックスさせた遊技機)専門店にて、新装開店を告知する手描きポスターです。

 一目見た瞬間から、頭の中に「な、つ、の、お嬢さん〜♪」なんていうメロディーが流れて来そうなこのポスター。昔はよくこうした「既視感」タップリの掲示物などを目にしたものです。

 よく見るとお嬢さんが乗っているのは玉が溢れんばかりの箱で、下に車輪が付きスケートボード風になっているのが凝っています。例のヒット曲が発売されたのは1978年でしたが、まだ夏といえばこの曲のイメージが強かったのかもしれません。

 ちなみに告知されている『サンダーボルト』という台の写真がこちら。

 サミーが1980年夏に発売したメダル式マシンで、当時の資料によれば雀球などではなくオリジナルの「得点型メダルゲーム機」とのこと。様々な入賞口に得点が設定されており、最終的に3000点に到達するとメダルが1枚払い出され、以下500点ごとに1枚追加されます。

 また、盤面下の雀球やアレンジボールに似たポケット入賞時は対応したアルファベットが点灯し、「THUNDER BOLT」と並べば得点が2倍になりました。

 当時はまだインベーダーゲームの影響が残っており、幅広いゲーム性を追究する動きが加速していた時代。この秋には『フィーバー』が誕生して翌年以降業界が大きく変貌していくのですが、説明を読んだだけでも打ちたくなるような楽しいゲーム性に心が躍ります。

 さて最後に気になったことを書いておくと、上のポスター右下に描かれた「ルービックキューブ」のような物体。16マスの中にランプが点灯している、つまり「アレンジボール」の表示に見えます。

 単純に『サンダーボルト』のゲーム性を表しているとは思えないものの、このお嬢さん同様、当時まだ人気が根強かったアレンジボールのイメージを添えてお客さんにアピールしようとしていたのかもしれません。

 一見コミカルなポスターですが、こうしていくつかの面から考証してみると、かなり興味深いものだなと思いました。