【球面体ノート52】初めて打ったパチンコは何ですか

(写真)1985年に発売された西陣の羽根モノ『レッドライオン』

「初めて打った台は何ですか?」

 ライター業を始めて大体35年近くになりますが、こういう質問を受ける機会がけっこうあった記憶があります。いや、もしかしたら一番多かったかもしれません。

 記憶にある限り初めて打ったのは1985年頃、四ツ谷の今は無き「ザ・リボン」か「コメット」にあった西陣の『レッドライオン』だったと思います。大学時代、神宮球場で野球観戦をした後、サークルの先輩たちに連れて行ってもらったのです。

 しかし、正直に言うと当時はパチンコの機種名どころか名前があることすらよく知らない完全なビギナーだったので、「今レッドライオンを打っている」という認識は全くありませんでした。ゆえに、後から役物の形状(中央にヘリコプターがあった、など)を思い出して『レッドライオン』と推理したわけです。

 また、四ツ谷にあった「ザ・リボン」も「コメット」も西陣の台オンリーだったため、推測の決め手の一つになりました。昔は「一ホールに一メーカー」というのが割と普通で、私が打ち始めた頃も「SANKYOオンリー」とか「平和オンリー」という店がけっこう残ってましたから。

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(写真)1985年、四谷「コメット」入り口付近の様子

 ところで、そもそも「パチンコを打ってみたい」と思ったきっかけは何だったのか?

 こちらもたまに聞かれる質問なのですが、自分の場合特に幼い頃大人に連れて行ってもらった思い出などはなく、テレビ等で見ていたパチンコに対して「面白そう、やってみたい」と感じたのが大きなきっかけだったと思います。昔ですから打っている層はあまり真面目な雰囲気ではなかったものの、若気の至りで(?)悪いモノに憧れるような気持ちもあったかもしれません。

 また、子供の頃見たりゲームで遊んだパチンコは手打ちのシンプルなもので、チューリップなどが開いて玉を拾うと「チャリーン」と玉が出てきて、何だか達成感もあり楽しい(楽しそう)。

 そんなイメージを持っていた私にとって、打ち始めた頃に沢山あった羽根モノは、ちょうどアナログ的な面白さに溢れていてすぐに夢中になってしまったのかもしれません。学生でお金がなくても、大体1000~2000円程度でけっこう遊べましたし。

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(写真)『レッドライオン』カタログ。イメージガールは歌手の若草智恵さん

 さて初めて打った『レッドライオン』はどうだったかというと、ビギナーズラックでちょっと勝ったと思います。それもあって「また打ってみたい」と思うようになり、何度か先輩と一緒に行った後ついに一人で……という経路(笑)をたどるようになります。

 打ち始めた頃のホールにいたのはほとんど男性で、女性といったらお婆さんかお水っぽい方がほとんど。しかし当時のパチンコ業界は、けっこう女性客を呼びたかったのでしょう。女性専用コーナーや女性専用台の設置、女性優先オープンなどがどんどん行われるようになっていきました。

 今だったらもしかして「セクシャリティ差別がどうのこうの」とか問題になるかもしれませんが(現に、女性優先のサービスなどは聞かなくなりました)、90年代半ばごろまで全く疑問も持たずに恩恵を受けており、特に優先オープンだと女性はパチスロにほとんど行かないので、モーニングなど美味しかった記憶もありますね。

 思えば、当時はネットはもちろんスマホなど全くないですし、台の写真を撮ることもほぼ不可能。それゆえ、打っている時はいつも台を細かい部分までジーーーッと見つめて楽しみをしゃぶり尽くそうとしていました。そうしたことが、後にライターになって大いに役立ったのは間違いありません。

 とにかくパチンコが打ちたい。そして関連する色んなことが知りたい。ビギナーの頃はひたすらひたすら、そんなことばかり考えていました。

 時が経ち、今パチンコに興味を持つきっかけというのはやはりアニメやタレントといった、コラボしているコンテンツ目当てのパターンが多いのでしょうか? 昔は「打ちたい」というシンプルなものでしたから、随分時代が変わったな~と改めて感じますね。(神保)