【ぱちんこヒューマン】第5回:*ゼロタイガー40年*『Pニュートキオ』開発者インタビュー

(写真)『Pニュートキオ』ハカマタイプ(左)とヘソタイプ

 2021年は、羽根モノの元祖『ゼロタイガー』登場から40年。それを記念して今回も(株)平和協力により、導入が始まった最新機種『Pニュートキオ』開発者インタビューをお届けします。

 今回登場して頂く門永清氏は、2012年からロングヒットを続けた『CRA TOKIO DELUXE』以降のシリーズを手がけられており、その全てを知り尽くした人物です。ここでは初代誕生の経緯から知られざるエピソードまで、タップリと語って頂きました(※インタビューは書面でのやりとりを含め、マスク着用や換気等新型コロナ対策を十分とった状態で行っています)。

<出席者プロフィール・敬称略>

門永 清(せい)…(株)平和 開発本部 設計グループ 設計チーム所属。2001(平成13)年入社。役物設計を担当し、『ネオビッグシューター』や『CRA TOKIO DELUXE』以降のシリーズを手がける。プライベートでもトキオシリーズをよく打つとのこと。

▲▽トキオシリーズ誕生の背景は▽▲

(写真)『トキオシリーズ』を手がけた門永氏

編集部(以下『編』)…門永さんは2012年の『CRA TOKIO DELUXE』以来シリーズ機を手がけられていますが、それ以外で担当された台やお好きな機種について教えて下さい。

門永(以下『門』)「私は平和の『ブンブン丸』が好きで、入社した際そういう役物を作りたいと志願したものの、最初は台枠の設計担当になりました。その後2010年から念願の役物設計に携わるようになり、『ネオビッグシューター』およびトキオシリーズを手がけています。現在もプライベートでは同シリーズを打っていますし、それだけでしたら負けていないと思いますね」

編…やはり好きこそものの……ということですね。初代『TOKIO DELUXE』は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

門「前作の『ネオビッグシューター』では自力継続が好評を得た一方で、個体差などの問題もありました。そこで次は多くの方が慣れているラウンド振り分けタイプにしようということと、過去のヒット機種をリメイクするといったコンセプトに沿って考えた結果、パンクイメージの少ない『ザ・トキオ』を採用することに決定しました」

(写真)左から『CRA TOKIO DELUXE』『CRA TOKIO PREMIUM』『CRトキオスペシャル』

編…あの巨大なタワーは、どういった発想から生まれたのですか?

門「当時業界では大きな液晶を搭載したデジパチが増え、それらに負けないようにということで、センターは出来る限り巨大にすることにしました。ただ、縦に長いと一番の見せどころであるタワー上部の振り分けで、玉の動きが分かりづらくなってしまいます。そういったところを上手く両立させてお客様のストレスも軽減できるよう、色々試行錯誤しました」

編…一方、左サイドではミニタワーの存在も重要なものとなっていますね。

門「最初は『ザ・トキオ』のタワーが中央で巨大化した……というアイデアでしたので、タワーは一つだけだったんです。しかし右側にスクリューを配置した際にバランスが悪く、左にも何か役物を持って来ようと思った中で、初代トキオのタワーになったというわけです」

編…スクリューのアイデアの由来や、右側に配置された理由を教えて下さい。

門「スクリューが玉を持ち上げる動作は、オモチャからヒントを得ました。ちょうどタワーのエレベーターのような感覚で中央に配置したかったのですが、サイズや玉の経路などからどうしても入れられなかったため、右側に置くことになったのです」

▲▽Pニュートキオには新たな工夫がいっぱい▽▲

編…液晶や女神ルートなどを盛り込んだ『CRA TOKIO PREMIUM』以外、基本的に初代の構造を受け継いでいますが、新しい『Pニュートキオ』では天釘のプラスチック化をはじめノーマルルートやスペシャルルートの改良など、新しい工夫も盛り込まれていますね。

門「天釘部分は、今回“天プラ(天釘プラスチックシステム)”を導入して、経年劣化やメンテナンス頻度を格段に減らすことができるようにしました。また、ノーマルルートは前作『トキオスペシャル』で玉を一旦せき止めたため、V入賞のルートが狭められてしまいました。そこで今回は可動体を見直し、初代に近い多彩な入賞ルートを作っています。さらにスペシャルルートではクルーン部分にクッションを敷き、玉が暴れてとんでもない方向へ落ちるといったことが少なくなっていますので、安心して遊んで頂けると思います」

(写真)『Pニュートキオ』役物部分では、玉の動きを安定させるための工夫が盛り込まれた

編…シリーズも4作目となり、ニーズに合わせて細かい部分も改良されているんですね! 一方機種名について、1991年頃『ニュートキオ』という台が登場しています。そちらとの関係が気になるのですが…。

門「機種名考案者によれば、当初はこれまで通り『トキオ○○』というパターンを使う予定だったのですが、割と出尽くし感があったため新しい命名ルールを設けようということになったそうです。その中で今回は原点回帰ということで、『ニュートキオ』を採用したとのことでした」

編…今回、シリーズとして初めてハカマタイプとヘソタイプの2パターンを発売された理由を教えて下さい。

門「以前より、一部ホール様から羽根モノタイプはハカマや2チャッカー周辺のメンテナンス技術が難しいという声を頂いていましたので、今回デジパチに近いゲージのヘソタイプを用意しました。やはりハカマタイプの方が売れてはいますが、ニーズに合わせたことで販売台数も伸びており一安心しています」

▲▽今後も市場に羽根モノが必要な理由とは▽▲

(写真)トキオシリーズはニーズに合わせ、常に進化を続けている

編…では最後に苦境が続く羽根モノについて、ご提言や今後の可能性などお考えをお聞かせ下さい。

門「羽根モノ自体、アナログな構造をしていることからどツキなどされやすく、ホール様からは“管理が面倒”、メーカーからは“採算が合わず作る技術もない”といった声が聞かれます。現状、デジパチ以外のパチンコ機というと、羽根モノや権利モノなどの役物機が挙げられますが、役物機の割合は低く、設置されている機種も多くはありません。しかし玉の動きによって当落を決定する羽根モノや権利モノを好むお客様は確実に存在します。その声に応えるべく、各メーカーはアナログ要素を持ったパチンコ機の開発にチャレンジすべきだと考えます。羽根モノの開発は手間は掛かりますが、液晶機を作るよりお金はかからず今の時代には意外とマッチしているかもしれません。色々なメーカーが色んな羽根モノを開発販売していくことで、新たなヒットを生み出す可能性もあります。そうなれば、今後のパチンコ市場全体の活性化にもつながっていくと思います」

編…前向きなご意見、有り難うございました。今後も『ブンブン丸』など、新たな羽根モノリメイクにも期待しています。

◎羽根モノファン待望の『Pニュートキオ』導入に合わせお届けした開発者インタビュー、いかがでしたでしょうか。アナログの面白さが見直される機会も増えている昨今、ぜひ魅力ある羽根モノによってファンの裾野が広がっていくよう、応援していきたいです。

※取材協力…(株)平和

※『Pニュートキオ』製品紹介はこちら

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