【球面体ノート25】“玉がないパチンコ”への憧れ

 以前より「管理遊技機」だの「eco遊技機」だの、色々と呼称やコンセプトを変えつつ噂が絶えなかった「玉が内部で循環するパチンコ」が、とうとう来年早々にも登場するようです。

 玉が払い出されないパチンコといえば、すぐに思い出すのがゲーム。昭和の昔から縁日やゲームコーナーなどに置いてあって、景品のお菓子を目当てに子供が夢中で打ったりしていた、あれです。また、80年代以降はファミコンなどにも画面で遊ぶパチンコゲームが次々登場しています。

 実際にホールで営業用に稼働させる台では玉を使うことが決まっており、今回登場する「スマートパチンコ」と呼ばれる新型遊技機は、まさにゲームのように大きく姿を変えていくきっかけとなる存在となるかもしれません。

 とはいえ、業界内部ではこれまで全くそうした新型機を意識していなかったわけではないようです。写真上は、1981年3月14日に開催された大一と藤商事の合同展示会にて発表された「夢のテレビパチンコ」。

 ブラウン管を縦に配置した“盤面”中心に拡大してみるとゲージが表示されており、おそらくハンドルをひねると画面上で玉が動いて入賞したりするようになっていたと思われます。同社としてはコンセプト機のような感覚で、営業にも使える未来を提案していたのかもしれません。

 ゲームの歴史には詳しくないので単純な発想になりますが、ファミコン発売は1983年ですから、それ以前だとパソコンゲームのような感覚になるのでしょうか? いずれにしろ実機向け枠とリンクさせて遊べるというのは、当時としては画期的な発想だったといえそうです。

 ちなみに1981年3月といえば、前年発表されたSANKYOの『フィーバー』が人気を集め、この発表会でも大一からデジパチ一号機となる『アイドルセブン1型』『同2型』が発表され、大きな注目を集めました。そしてデジパチは全国を席巻し、ギャンブル性と規制のいたちごっこを繰り広げつつも市場のメインとなっていった経緯があったためか、こうした新型マシンはほとんど話題にならないまま歴史に埋もれてしまっています。

 今回「スマートパチンコ」発表にあたり、そうした「玉がないパチンコ」への憧れを40年ほど前に具現化したともいえそうなマシンを取り上げてみました。

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