【球面体ノート28】噓も方便……?<後編>
- 2022.06.17
- 球面体ノート
※前編は、コチラをご覧下さい
前回から2回に渡り、パチンコホールにあった「そりゃ嘘でしょ(笑)」とか「ちょっと大げさでは……?」と思える看板などについて取り上げています。
後編の最初は、1970年に横浜市内で営業していた「スマロ」というホール。上の写真の通り、店名ネオンの下に「勝負あり 出玉日本一 パチンコならスマロ」といった、よくある自慢のフレーズが書いてあります。
出玉日本一って、どこで比べるんだろう(笑)? など、微笑ましく思いながら視線を下に落とすと、とんでもない看板が立てられていました。
「所得倍増 片手で…OK」
この看板が立てられた1970年は、前年に1分間に100発打てる「百発機」が解禁され、それまでの「左手で玉をこめ、右手で弾く」という両手を使う動作から「ハンドルを引くと自動的に玉が込められるので、片手で打てる」ことが広くアピールされていました。
つまり、ここに描かれた丹下左膳(※看板はパチンコに対応させるためか、使える目と手が右になっている)と思われる侍でも百発機なら所得倍増(※1960年代に流行した、池田勇人内閣のキャッチフレーズ)も可能ですよ! ということのようなのですが……バックグラウンドを考えると、ちょっとブラックめいててゾクッと来るような大げさぶりでもありますね。
さて百発機関連で、高尾の直営店「正ちゃん」でも壮大すぎる表現が見受けられたようです。
写真は1969年のもので、まさに百発機が市中に出回り始めた興奮度を表すような文句が書いてある看板が、お店の入り口に立てられました。
「待望の百発機 高尾式
アポロ11号と競って愈々(いよいよ)当店に軟着陸!」
看板を見るとどうやら百発機にはロケットエンジンが搭載され、当時月面着陸で大きな話題となっていたアポロ11号とも競争する勢いで正ちゃんに導入されたようです。……が、軟着陸しようとしているのはどう見ても地球ではないような気もするのですが……(笑)。
一体、正ちゃんは地球にあったのか月にあったのか? そんな疑問も浮かんでしまうような看板でありました。
最後にチェックしたいのは、1972年青森にあったホールのヤバい表示です。上の写真は店内の様子で、「立ち島」と呼ばれる立って打つオールドスタイルで営業している、レトロな雰囲気がいい感じのお店です。
ところが、お客さんの頭上に掲げられたキャッチフレーズを拡大してみると、そんなムードが一気に吹き飛んでしまいました。
キャッチフレーズは、手前から……
「東北随一の 明るくて出る店」
「お客様は王様 私達は下僕」
「今日も笑顔で 機械に挨拶」
……はぁぁ? 下僕? お客さんの多くが気にも留めていないからといって、なんか、すごいことが書いてありませんか(笑)? すぐさま「嘘つけ!」とツッコみたくなってしまいます。
もしかしたら当時流行っていた言葉だったのかもしれませんし、よくある「景品はご家庭に」みたいな文句が嫌だったのかもしれませんが、いずれにしろこの看板がかなり特殊であったのは間違いないでしょう。
いやはや……長い歴史を持つパチンコの世界には、色々なトンデモ表現があったものです。まぁそんな中でも、ホールとお客さんは騙し騙され? うまく共存して来たといえるのかもしれません。
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