【ぱちんこヒューマン】第8回:「新しいぱちんこのリーダーたち」豊丸産業(株)常務取締役・永野弘之氏インタビュー(後編)

 前回より、パチンコ業界の立て直しに奔走する「新しいリーダー」の一人である、豊丸産業常務取締役・永野弘之氏インタビューをお届けしています(前編はコチラ)。後編では現在のパチンコ業界への提言をはじめ豊丸のこだわり、そして常務が選んだ今年を表す「漢字一文字」をご紹介します。

編…パチンコ業界では、特に一昨年から「スマート遊技機」やそれに付随した「ラッキートリガー」といった機能の誕生など、これまでにない新しい時代に突入しています。そうした背景を踏まえ、今後の遊技機開発や市場動向についてはどうお考えでしょうか?

永…今のパチンコはユーザーの選択肢が限定されてしまっていると思いますね。それゆえ、業界を挙げた様々な施策を通じて幅広いゲーム性の遊技機をお届けすることが、ひいては業界全体の活性化につながると考えます。また、遊技機のゲーム性に関わる部分だけでなく、今後は遊技環境の整備も進んでいくと思われます。少し時間はかかるかもしれませんが、段階的に次世代の遊技機と遊技環境に置き換わっていくことで、休眠ユーザーや新規ユーザーが遊びやすい環境が整っていくのではないかと考えています。

編…おっしゃる通り、今後はスマート遊技機等次世代への移行がスムーズに進むことが望まれますが、そうした中でパチンコ機自体については、具体的にどんな未来像をお考えでしょうか?

永…パチンコは「大衆娯楽」であるという原点が、改めて見直されていくのではないでしょうか。パチンコを楽しむことはどういうことか? 身近で手軽な遊びとして遊技環境も含めた見直しが段階的にされていくように思えます。また、パチンコは「玉で遊ぶ」というアナログな要素が独自の面白さやゲーム性に幅を持たせてくれています。最近は大きな液晶を搭載したパチンコがシェアの多くを占めるようになりました。ただ、「玉で遊ぶ」アナログ要素と昨今のデジタル化をどのように融合させていくのかが改めて見直されるのではないでしょうか。

編…パチンコ機においてもアナログ要素の見直しといった、温故知新のような動きが期待されるところですね。

永…もちろん、今後も遊技機だけでなく遊技環境含めデジタルに置き換わる部分は増えていくでしょう。しかし、パチンコから玉がなくなることはないと思うので、アナログ要素をうまく取り入れて進化を遂げたような遊技機が求められていくように思いますね。

編…御社としては、今後どのような「こだわり」を持ち、どのような「挑戦」を続けていきたいとお考えですか?

永…弊社は以前より、「他社にはないもの」を皆様にお届けして参りましたし、そうしたイメージを持って頂いていたと思います。しかし、近年はそうした期待に充分お応えできていたとはいえません。改めて“豊丸らしい”機種やサービスに特化して社を挙げて取り組んでいきたいと思っています。そのためには、やはり創業以来のこだわり「創意工夫」を絶やさないことが重要です。昨今の遊技機は豊富な演出量や派手な動きの役物、目立つ筐体などによって開発費の増加が止まらない状況です。しかし、それは果たして誰のためになっているのか? 我が社は限られた資源を有効活用しながら「創意工夫」を盛り込み、世の中を笑顔にできる製品を提供していく所存です。そして「挑戦」という面でもう一つ、新機種案内において「リモートプレゼン」と最新式「オンライン試打システム」を取り入れ、新たな営業スタイルの確立に向けて取り組んでおります。

編…「オンライン試打システム」とは、どういう仕組みなのですか?

永…スマートフォンやPCで新機種(実機)をオンラインで試打していただける環境を整えました。また玉飛びや音量などもスマートフォンやPCで調整可能です。 24時間対応となっておりますので、いつでも試打していただくことが可能です。ホール様の利便性を追求し、新たな営業スタイルの確立に向けた取り組みを加速させていきたいと考えております。

編…開発も営業も、まさにユニークですね。今後も御社ならではのこだわりに期待したいと思います。さて最後に、永野常務が考える「今年の漢字」を一文字で表すとしたら、どのような文字になりますか?

永…私が選んだのは「脱」です。世間では「脱コロナ」が進んでいるものの、パチンコにおいてはまだまだです。そうした状況から「脱する」思いをはじめ、パチンコ活性化のために弊社が立ち上げた「脱ミドル」「脱高玉単価」といった大きな方針を鑑み、やはりこの文字がぴったりなのかなと思いました。遊びやすさにこだわった遊技機を継続してご提供し、現在の状況からいち早く脱却できるよう、微力ではありますが尽力していく所存です。

編…そうした思いが広がっていき、パチンコが直面しているファン離れや市場の落ち込みなどからの「脱却」も、ぜひ叶えて頂きたいところです。今日は有難うございました。