【ぱちんこヒューマン】第10回:「新しいぱちんこのリーダーたち」(株)三洋物産代表取締役社長・盧 昇氏インタビュー(後編)

 前回に引き続き、パチンコ業界における「新しいリーダー」の一人、(株)三洋物産代表取締役社長に就任された盧氏へのインタビューをお届けします。後編では危機に瀕するパチンコ業界への提言をはじめ、現在の業界を表す「漢字一文字」を披露して頂きます。(※前編はコチラ

編…パチンコ、パチスロ市場では、近年スマート化やラッキートリガー搭載など大きく変化を遂げつつも、遊技人口やホール店舗の減少に歯止めがかからないといった問題も山積しています。こうした現状についてのお考えや、見通しなどをお聞かせ下さい。

盧…現代においてはスマートフォンの普及やレジャーの多様化によって、パチンコファンの減少は避けられません。そのような中で生き残っていくには、まず大前提として「好きだから打って頂いている」ファン層を大切にすることが重要です。その上で、若年層にアプローチしてパチンコに興味を持ってもらうことが急務だと考えています。若い世代の方は「好き」の力が強く、関心を持っていればお金も時間も投資してもらえます。しかしその一方で、幼いころからSDGsの話などを聞かされて育っているため、生産性や社会的意義に敏感で「社会的に意味のない企業」にはなかなか関心を持ちづらいので、そういったパチンコ業界のイメージを変えていく必要があります。パチンコ産業は社会貢献など昔より変化しているのに、なかなか伝わっていないのが現状です。どのようにして変えていくかですが、例えば訴求力の高いTVCMなども規制によって表現の限界があったりしますので、まずそこから変えていかねば始まらないジレンマがありますね……。しかし業界の組合関係者が力を合わせ、少しずつTV局への働きかけなども行って解決を模索しているところです。

編…盧社長はメーカー社長であると同時に組合(日工組)の副理事長という立場でもおられますが、特に新規ユーザー獲得について何か“秘策”はお考えでしょうか。

盧…今後取り組むべきなのは、業界のイメージアップと共にインバウンド市場への働きかけだと思います。あるメディアの調査によれば、訪日外国人の6割がパチンコを認知していて、さらに体験してみたいと関心を持っている方は3割もいるそうです。しかし実際に体験した方は、残念ながらそうした数値にははるかに及ばないそうで、それほどまでにハードルの高さがある状況です。訪日外国人が年間約3000万人という数字を考えれば、非常に魅力的な市場であることは間違いないので、日工組でも専門チームを作って取り組んでいます。

編…確かに訪日外国人向けツアーなどで実際に触れてもらえるような機会を、もっと作ってみるのもいいかもしれませんね。

盧…そうした機会を増やすことももちろん大切なのですが、インバウンドに対してはメーカーとホール様が協力して例えば「専用機」を作ったり、「専用コーナー」を設置するなどの思い切った動きも必要かと思います。外国人の方はクレーンゲームで景品を獲得するといった、短時間で結果が出せるものを好む傾向があります。パチンコ台についても、今まではお客様の滞在時間を伸ばす方向で取り組んできましたが、考え方を大きく変えることが必要かもしれません。

編…専用機や専用コーナーというのは画期的ですね。また、短時間で遊べる機種自体、国内の新規ユーザーや休眠層にも訴求力が大きそうです。

盧…そうですね。ただインバウンド市場は非常に魅力的なのですが、大きな問題としてネットの口コミ評価があります。訪日外国人は口コミの評価を参考にする方が非常に多いため、負けたお客様がマイナス評価を多く付けていたりしますと、ホール様そのものが悪いイメージを持たれてしまう。その辺のクリアも考えていかねばならないでしょう。

編…新規ユーザーに向けては、他にも近年御社の「ニコニコ超会議」へのブース出展や日工組(「KIBUN PACHI-PACHI委員会」)の「お台場冒険王」出展など様々な取り組みが行われています。こうした動きの成果はいかがでしょうか。

盧…弊社の「ニコニコ超会議」、そして日工組の「お台場冒険王」のブース出展は、いずれもパチンコが目的でない若い層や家族連れなどに遊技体験をして頂く、非常にいい機会になっていると思います。本当はそうした方々が実際にホール様へ足を運んだかどうか分かればいいのですが、なかなか追跡調査も難しいのが現状です。しかし、会場で最新のパチンコやスマートボールなどの遊技機や、ホール従業員のホスピタリティに触れて頂くことで、イメージの向上や家族の思い出作りに役立てば、それも素晴らしいことだと思っています。

編…今後も、業界内外へ向けてさらなるご活躍を期待しています。では盧社長が考える現在の業界に対する「漢字一文字」を教えて頂けますか。

盧…私が考える一文字は「熱」ですね。今のパチンコ業界が緩やかな下降線をたどっている状況を変えるためには、携わる人達の情熱が必要です。その人達が持つ温度の伝達によってパチンコ業界関係者の全体を動かすことができ、ひいては業界復活のカギとなると思っています。

編…最後にファンの方々へ向けて、一言お願い致します。

盧…SANYOグループはこれまで培ってきた万人に愛される遊技機づくりをもとに、これからもゲーム性やキャラクターの持ち味を活かしながら、新しい時代にあったまだ見ぬエンターテインメントを創り出していきます。ぜひご期待ください。

編…有難うございました。